古典ギリシャ語part2
語学のこと 古典ギリシャ語
ギリシャに行きたいと願ったきっかけは何だったのだろうと、つらつら逆行してみました。ギリシャ古典を愛読していたのですが、その要因はニーチェ。10代のときにニーチェの著作に浸っていたため、その中で言及されているギリシャ古典に興味を抱いたため。そして、別世界の美しさを放つギリシャの写真を目にしたこと。
初級ギリシャ語が終了する頃には、クセノポンの”アナバシス”を和訳させられました。同書は岩波文庫で復刻版が出版されています(松平千秋訳)。ギリシャ人傭兵1万数千人を引き連れたクセノポン(ソクラテスの弟子)による、小アジア6000キロの脱出行を描いたノンフィクション。生存を約束するのは、海。感動的な「海、海」の場面が上記(線を2度引いてある部分)。今でも古典ギリシャ語を学ぶ方は、クセノポンを手にとるようです。2400年にわたって読み継がれている、永遠のベストセラー。圧倒されます。
ぼんやりと記憶が甦ってきたのですが、平仮名だけではなく漢字が読めるようになった頃に、毎日読んでいたのが通常の大人向けのギリシャ神話でした。分厚かったです。飽きずにめくっていたのだから面白かったのでしょうが、描写された事象の意味合いや行間を読むなどという機知は到底望むべくもなく、ただ筋を追う幼い接し方だったに違いありません。
それにしても記憶というものは、後ろの扉を開けないと、その奥の扉も開かないものなのだなぁと実感しました。